実践総合農学会  
 

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実践総合農学会会長 三輪 睿太郎

   
   実践総合農学会は、2004年秋に東京農業大学ならびに大日本農会と「食」、「農」、「環境」の実学に志をもつ学界、文化人などが発起人になって設立された。日本学術会議の認定学会であり、日本農学会の加盟学会でもある。
 19世紀にヨーロッパで事実や実験による検証に基づき、従来の哲学から物理学、化学、生物学が生まれた。20世紀には工学、医学、農学がこれらから新しい学理を得て面目を一新し、生産、製造、運輸などにおける大きな技術革新が実現し、現代の物質文明が完成した。さらに、20世紀半ば以降には、DNAの発見、生態学の確立、コンピュータの製造・普及、宇宙的視野から地球が観測され、21世紀型科学技術への礎石となった。
 20世紀型技術革新は人間生活を豊かに拡大する直線的な成長を与えたが、世紀後半には公害、環境問題の激化など、長期的な人類の発展からみた限界を露呈し、地球温暖化を始めとする環境の持続性を脅かす多くのシグナルと慢性的な経済の不振の中で多くの人が閉塞感を抱きながら、21世紀を迎えたのである。
 丸山真男は、「日本の思想(岩波新書、1961年)」で、西欧科学は、先端はササラのように分かれていても、根元は一本の太い幹になっていて、養分の往き来がある。それに対して日本の科学はその先端部だけが移植されて幹がなく、それぞれタコツボを掘るようにして発展してきたと指摘したが、上述した近代科学の発展のなかで、農学が歩んだ道も例外ではない。
 農業の高等教育においても、学生が乏しい実学の素養しか持たないまま、切り分けられたパーツに実験や研究を集中するため、農業に対する見識も基礎的な研究方法論も身につけずに終わることが多いのであり、 実学をモットーとする東京農業大学でも農業をほとんど知らない卒業生が少なくないのが現実である。
 総合農学の必要性を否定する人は少ない。しかし、総合農学を高度化することは難しい。農学は学者・研究者だけのものではない。「食」、「農」、「環境」を良くするにはどうしたらよいか、を論理的に考え、意見を交わし、より深く理解しようという気持ちをもつ人々が集い、「実学の高度化を模索する学会」である。
 皆様の参加を心から歓迎する次第である。
 
   

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